かな もどる 桜の花と谷川の音
夢の森林鉄道
木村達也
深い森林から
巨木を切りだして
谷へと運び出す
巨木は枝を切り払われ
まっすぐな丸太に
切りそろえられる
巨木は明るい星空のなかで
森林鉄道の荷台にのせられる
列車はコトコトはしってゆく
丸い巨木をいくつものせて
列車はゆっくりはしっていく
黄色い丸い月の下を
夢の森林鉄道
木村達也
深い森林から
巨木を切りだして
谷へと運び出す
巨木は枝を切り払われ
まっすぐな丸太に
切りそろえられる
巨木は明るい星空のなかで
森林鉄道の荷台にのせられる
列車はコトコトはしってゆく
丸い巨木をいくつものせて
列車はゆっくりはしっていく
黄色い丸い月の下を
もどる 桜の花と谷川の音
ゆめのしんりんてつどう
きむらたつや
ふかいしんりんから
きょぼくをきりだして
たにへとはこびだす
きょぼくはえだをきりはらわれ
まっすぐなまるたに
きりそろえられる
きょぼくはあかるいほしぞらのなかで
しんりんてつどうのにだいにのせられる
れっしゃはコトコトはしってゆく
まるいきょぼくをいくつものせて
れっしゃはゆっくりはしっていく
きいろいまるいつきのしたを
Yume no sinrin tetudô
Kimura Tatuya
Hukai sinrin kara
kyoboku o kiridasite
tani e to hakobi dasu
Kyoboku wa eda o kiri haraware
massuguna maruta ni
kiri soroerareru
Kyoboku wa akarui hosizora no naka de
sinrin tetudô no nidai ni noserareru
Ressya wa kotokoto hasitte yuku
marui kyoboku o ikutu mo nosete
Ressya wa yukkuri hasitte iku
ki'iroi marui tuki no sita o
かな もどる まだまだ
桜の花と谷川の音
木村達也
森の木と木の間を
ゆっくりはしっていく
ぼくは森林鉄道の運転手
軌道がぐねぐねしているから
すぐ右へカーブしたり
左へカーブしたりする
下の方から谷川の
流れる音がする
森の木と木の間を
ゆっくり走っていく
明るい月夜のなかで
桜の花がかがやいていたり
杉の葉がゆれていたり
ガタンゴトン
ガタンゴトン
線路の上をゆれながら
ゆっくりはしっていく
桜の花と谷川の音
木村達也
森の木と木の間を
ゆっくりはしっていく
ぼくは森林鉄道の運転手
軌道がぐねぐねしているから
すぐ右へカーブしたり
左へカーブしたりする
下の方から谷川の
流れる音がする
森の木と木の間を
ゆっくり走っていく
明るい月夜のなかで
桜の花がかがやいていたり
杉の葉がゆれていたり
ガタンゴトン
ガタンゴトン
線路の上をゆれながら
ゆっくりはしっていく
もどる まだまだ
さくらのはなとたにがわのおと
きむらたつや
もりのきときのあいだを
ゆっくりはしっていく
ぼくはしんりんてつどうのうんてんしゅ
きどうがぐねぐねしているから
すぐみぎへカーブしたり
ひだりへカーブしたりする
したのほうからたにがわの
ながれるおとがする
もりのきときのあいだを
ゆっくりはしっていく
あかるいつきよのなかで
さくらのはながかがやいていたり
すぎのはがゆれていたり
ガタンゴトン
ガタンゴトン
せんろのうえをゆれながら
ゆっくりはしっていく
Sakura no hana to tanigawa no o to
Kimura Tatuya
Mori no ki to ki no aida o
yukkuri hasitte iku
Boku wa sinrintetudô no untensyu
Kidô ga gunegune site iru kara
sugu migi e kâbu sitari
hidari e kâbu sitari suru
Sita no hô kara tanigawa no
nagareru oto ga suru
Mori no ki to ki no aida o
yukkuri hasitte iku
Akarui tukiyo no naka de
sakura no hana ga kagayaite itari
sugi no ha ga yurete itari
Gatan goton
gatan goton
Senro no ue o yurenagara
yukkuri hasitte iku
かな もどる がんこ
まだまだ
木村達也
いいトラックが走りだして
いい道ができていく
線路はだんだんとりはずされて
森林鉄道は役割を終えていく
ぼくはちょっと
時代遅れかもしれない
車体もすこしぎしぎし言って
線路もところどころぎしぎし言って
すこしくたびれているけれど
行けるところまで行く
星空の森林鉄道
運べるだけ運ぶ
月の夜の森林鉄道
まだまだ走れる
まだまだ運べる
まだまだ
木村達也
いいトラックが走りだして
いい道ができていく
線路はだんだんとりはずされて
森林鉄道は役割を終えていく
ぼくはちょっと
時代遅れかもしれない
車体もすこしぎしぎし言って
線路もところどころぎしぎし言って
すこしくたびれているけれど
行けるところまで行く
星空の森林鉄道
運べるだけ運ぶ
月の夜の森林鉄道
まだまだ走れる
まだまだ運べる
もどる がんこ
まだまだ
きむらたつや
いいトラックがはしりだして
いいみちができていく
せんろはだんだんとりはずされて
しんりんてつどうはやくわりをおえていく
ぼくはちょっと
じだいおくれかもしれない
しゃたいもすこしぎしぎしいって
せんろもところどころぎしぎしいって
すこしくたびれているけれど
いけるところまでいく
ほしぞらのしんりんてつどう
はこべるだけはこぶ
つきのよるのしんりんてつどう
まだまだはしれる
まだまだはこべる
Madamada
Kimura Tatuya
I'i torakku ga hasiri dasite
i'i miti ga dekite iku
Senro wa dandan torihazusarete
sinrintetudô wa yakuwari o oete iku
Boku wa tyotto
zidai okure kamo sirenai
Syatai mo sukosi gisigisi'itte
senro mo tokorodokoro gisigisi itte
sukosi kutabirete iru keredo
Ikeru tokoro made iku
Hosizora no sinrintetudô
Hakoberudake hakobu
Tuki no yoru no sinrintetudô
Madamada hasireru
Madamada hakoberu
かな もどる 大切な木
がんこ
木村達也
ぼくはがんこ一徹
決められたレールの上しか走らない
谷はぐねぐねしていて
軌道は右に左にすぐ曲がる
でもぼくはすぐにそれに対応し
右に左にカーブして
なにごともなく通りすぎる
風は後ろに吹いていく
景色は後ろに飛んでいく
ぼくはがんこ一徹
決められたレールの上しか走れない
でもレールの上にも
曲がらなければ進めない困難はある
重い木を運ばなければならないのだ
ゆっくりだけど力強く走っていく
大切な木を運ばなければならないのだ
ゆっくりだけど確実に進んでいく
がんこ
木村達也
ぼくはがんこ一徹
決められたレールの上しか走らない
谷はぐねぐねしていて
軌道は右に左にすぐ曲がる
でもぼくはすぐにそれに対応し
右に左にカーブして
なにごともなく通りすぎる
風は後ろに吹いていく
景色は後ろに飛んでいく
ぼくはがんこ一徹
決められたレールの上しか走れない
でもレールの上にも
曲がらなければ進めない困難はある
重い木を運ばなければならないのだ
ゆっくりだけど力強く走っていく
大切な木を運ばなければならないのだ
ゆっくりだけど確実に進んでいく
もどる 大切な木
がんこ
きむらたつや
ぼくはがんこいってつ
きめられたレールのうえしかはしらない
たにはぐねぐねしていて
きどうはみぎにひだりにすぐまがる
でもぼくはすぐにそれにたいおうし
みぎにひだりにカーブして
なにごともなくとおりすぎる
かぜはうしろにふいていく
けしきはうしろにとんでいく
ぼくはがんこいってつ
きめられたレールのうえしかはしれない
でもレールのうえにも
まがらなければすすめないこんなんはある
おもいきをはこばなければならないのだ
ゆっくりだけどちからづよくはしっていく
たいせつなきをはこばなければならないのだ
ゆっくりだけどかくじつにすすんでいく
Ganko
Kimura Tatuya
Boku wa ganko ittetu
kimerareta rêru no ue sika hasiranai
Tani wa gunegune siteite
kidô wa migi ni hidari ni sugu magaru
Demo boku wa sugu ni sore ni taiôsi
migi ni hidari ni kâbu site
nanigoto mo naku tôri sugiru
Kaze wa usiro ni huite iku
Kesiki wa usiro ni tonde iku
Boku wa ganko ittetu
Kimerareta rêru no ue sika hasirenai
Demo rêru no ue ni mo
magaranakereba susumenai konnan wa aru
Omoi ki o hakobanakereba naranai no da
Yukkuri dakedo tikara duyoku hasitteiku
Taisetuna ki o hakobanakereba naranai no da
Yukkuri dakedo kakuzitu ni susun de iku
かな もどる 丸太をあやつる
大切な木
木村達也
はてしなく続く原始林
原始の巨木を切りだす
爆発的なエンジン音がする
チェーンソー
枝を打ち払い
丸太を決められた長さに
玉切りをする
何人もで抱える重量の巨大木
森にも貴重な木だけれども
やがては家族を守るための
家の太い柱や梁になるのだ
森にも大切な木だけれども
何代もの家族を守り
命を育む家の材となるのだ
大切な木
木村達也
はてしなく続く原始林
原始の巨木を切りだす
爆発的なエンジン音がする
チェーンソー
枝を打ち払い
丸太を決められた長さに
玉切りをする
何人もで抱える重量の巨大木
森にも貴重な木だけれども
やがては家族を守るための
家の太い柱や梁になるのだ
森にも大切な木だけれども
何代もの家族を守り
命を育む家の材となるのだ
もどる 丸太をあやつる
たいせつなき
きむらたつや
はてしなくつづくげんしりん
げんしのきょぼくをきりだす
ばくはつてきなエンジンおんがする
チェーンソー
えだをうちはらい
まるたをきめられたながさに
たまぎりをする
なんにんもでかかえるじゅうりょうのきょだいぼく
もりにもきちょうなきだけれども
やがてはかぞくをまもるための
いえのふといはしらやはりになるのだ
もりにもたいせつなきだけれども
なんだいものかぞくをまもり
いのちをはぐくむいえのざいとなるのだ
Taisetuna ki
Kimura Tatuya
Hatesinaku tuduku gensirin
Gensi no kyoboku o kiridasu
bakuhatutekina enzin on ga suru
tie^nsô
Eda o uti harai
maruta o kimerareta nagasa ni
tamagiri o suru
Nan nin mo de kakaeru zyu^ryô no kyodaiboku
Mori ni mo kityôna ki dakere domo
yagate wa kazoku o mamoru tame no
ie no hutoi hasira ya hari ni naru no da
Mori ni mo taisetuna ki dakeredomo
nandai mo no kazoku o mamori
inoti o hagukumu ie no zai to naru no da
かな もどる 道を造り橋を造る
丸太をあやつる
木村達也
ツルと呼ばれる
長い棒の先に
金属のカマがついた道具で
丸太をひょいとあやつる
重い丸太を動かすのは難しいが
長年の努力でつかんだこつがある
軌道の近くで集材したら
台車にのせて貯木場に運ぶ
丸太を台車にのせるのは難しいが
長年の経験でうまく積んでいく
まかせてくれ
ずっと丸太をあやつってきたのだ
ずっとうまく積んできたのだ
丸太をあやつる
木村達也
ツルと呼ばれる
長い棒の先に
金属のカマがついた道具で
丸太をひょいとあやつる
重い丸太を動かすのは難しいが
長年の努力でつかんだこつがある
軌道の近くで集材したら
台車にのせて貯木場に運ぶ
丸太を台車にのせるのは難しいが
長年の経験でうまく積んでいく
まかせてくれ
ずっと丸太をあやつってきたのだ
ずっとうまく積んできたのだ
もどる 道を造り橋を造る
まるたをあやつる
きむらたつや
ツルとよばれる
ながいぼうのさきに
きんぞくのカマがついたどうぐで
まるたをひょいとあやつる
おもいまるたをうごかすのはむずかしいが
ながねんのどりょくでつかんだこつがある
きどうのちかくでしゅうざいしたら
だいしゃにのせてちょぼくじょうにはこぶ
まるたをだいしゃにのせるのはむずかしいが
ながねんのけいけんでうまくつんでいく
まかせてくれ
ずっとまるたをあやつってきたのだ
ずっとうまくつんできたのだ
Maruta o ayaturu
Kimura Tatuya
Turu to yobareru
nagai bô no saki ni
kinzoku no kama ga tuita dôgu de
maruta o hyoi to ayaturu
Omoi maruta o ugokasu no wa muzukasi'i ga
naganen no doryoku de tukanda kotu ga aru
Kidô no tikaku de syu^zai sitara
daisya ni nosete tyobokuzyô ni hakobu
Maruta o daisya ni no seru no wa muzukasi'i ga
naganen no keiken de umaku tunde iku
Makasetekure
Zutto maruta o ayatutte kita no da
zutto umakutunde kita no da
かな もどる 夢の機関車
道を造り橋を造る
木村達也
山を削って
道を造る
勘と経験で
斜面を削って
道を造る
この上に
軌道を通すのだ
落石や土石流は
日常茶飯事
土砂が積もって
架けた橋が壊れる
勘と経験で
木材を組み合わせて
また橋を造る
その上に
また軌道を通すのだ
なんどでも
なんどでも
道を造り橋を造る
木村達也
山を削って
道を造る
勘と経験で
斜面を削って
道を造る
この上に
軌道を通すのだ
落石や土石流は
日常茶飯事
土砂が積もって
架けた橋が壊れる
勘と経験で
木材を組み合わせて
また橋を造る
その上に
また軌道を通すのだ
なんどでも
なんどでも
もどる 夢の機関車
みちをつくりはしをつくる
きむらたつや
やまをけずって
みちをつくる
かんとけいけんで
しゃめんをけずって
みちをつくる
このうえに
きどうをとおすのだ
らくせきやどせきりゅうは
にちじょうさはんじ
どしゃがつもって
かけたはしがこわれる
かんとけいけんで
もくざいをくみあわせて
またはしをつくる
そのうえに
またきどうをとおすのだ
なんどでも
なんどでも
Miti o tukuri hasi o tukuru
Kimura Tatuya
Yama o kezutte
miti o tukuru
Kan to keiken de
syamen o kezutte
miti o tukuru
Kono ue ni
kidô o tôsu no da
Rakusekiya dosekiryû wa
nitizyôsahanzi
Dosya ga tumotte
kaketa hasi ga kowareru
Kan to keiken de
mozai o kumiawasete
mata hasi o tukuru
Sono ue ni
mata kidô o tôsu no da
Nandodemo
nandodemo
かな もどる
夢の機関車
木村達也
獣の咆哮のような
エンジンの爆音が響くと
機関車はゆっくりと
重量のある台車を引く
ぎしぎしと線路が
きしむ音をたてる
エンジンは回転数をあげて
さらに加速していく
長い間休んでいたけど
きらめく星空の下で
ふたたび走りだした
森林鉄道
明るい月のしたで
力強く走る姿は変わらない
重い巨木を引く姿は
昔とすこしも変わらない
夢の機関車
木村達也
獣の咆哮のような
エンジンの爆音が響くと
機関車はゆっくりと
重量のある台車を引く
ぎしぎしと線路が
きしむ音をたてる
エンジンは回転数をあげて
さらに加速していく
長い間休んでいたけど
きらめく星空の下で
ふたたび走りだした
森林鉄道
明るい月のしたで
力強く走る姿は変わらない
重い巨木を引く姿は
昔とすこしも変わらない
もどる
ゆめのきかんしゃ
きむらたつや
けもののほうこうのような
エンジンのばくおんがひびくと
きかんしゃはゆっくりと
じゅうりょうのあるだいしゃをひく
ぎしぎしとせんろが
きしむおとをたてる
エンジンはかいてんすうをあげて
さらにかそくしていく
ながいあいだやすんでいたけど
きらめくほしぞらのしたで
ふたたびはしりだした
しんりんてつどう
あかるいつきのしたで
ちからづよくはしるすがたはかわらない
おもいきょぼくをひくすがたは
むかしとすこしもかわらない
Yume no kikansya
Kimura Tatuya
Kemonono hôkô no yôna
enzin no bakuon ga hibiku to
kikansya wa yukkuri to
zyu^ryô no aru daisya o hiku
Gisigisi to senro ga
kisimu oto o tateru
Enzin wa kaitensû o agete
sara ni kasoku site iku
Nagai aida yasunde ita kedo
kirameku hosizora no sita de
hutatabi hasiri dasita
sinrintetudô
Akarui tuki no sita de
tikara duyoku hasiru sugata wa kawaranai
Omoi kyoboku o hiku sugata wa
mukasi to sukosi mo kawaranai
かな もどる
消えた森林鉄道
木村達也
今はもうない
森林鉄道の
線路の跡
木材を運ぶ
小さな機関車
幼いぼくが
運転していく
夢の中の
森林鉄道
機関車は
ことことと
走っていく
たくさんの
木材をのせて
機関車は
ことことと
走っていく
幼い日の
ぼくの夢をのせて
消えた森林鉄道
木村達也
今はもうない
森林鉄道の
線路の跡
木材を運ぶ
小さな機関車
幼ないぼくが
運転していく
夢の中の
森林鉄道
機関車は
ことことと
走っていく
たくさんの
木材をのせて
機関車は
ことことと
走っていく
幼い日の
ぼくの夢をのせて
ロロロロロロロロロロロロロロロ
もどる
きえたしんりんてつどう
きむらたつや
いまはもうない
しんりんてつどうの
せんろのあと
もくざいをはこぶ
ちいさなきかんしゃ
おさないぼくが
うんてんしていく
ゆめのなかの
しんりんてつどう
きかんしゃは
ことことと
はしっていく
たくさんの
もくざいをのせて
きかんしゃは
ことことと
はしっていく
おさないひの
ぼくのゆめをのせて
Kieta sinrin tetudô
Kimura Tatuya
Ima wa mô nai
sinrintetudô no
senro no ato
Mokuzai o hakobu
ti'isana kikansya
Osanai boku ga
unten site iku
yume no naka no
sinrintetudô
Kikansya wa
kotokoto to
hasitte iku
Takusan no
mokuzai o nosete
Kikansya wa
kotokoto to
hasitte iku
Osanai hi no
boku no yume o nosete
Â Î Û Ê Ô
â î û ê ô
ロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロ
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