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ボールをおいかけて 
木村達也きむらたつや

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1 約束は? 2 なぜしょんぼりしているか?

3 遊園地は? 4 いい考えがひらめいた?

5 もっていくのはだれ? 6 作戦はうまくいくか?

7 元気がないのはなぜ? 8 いいことしたと思ったのに…?

9 いたずらって? 10 許してもらえるか?





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人物じんぶつ

ユピ
リスのおとこ。いたずらずき。しっぽが銀色ぎんいろ

ミキ
人間にんげんおんな。パパにあそんでほしい。

パパ
スズキという。ゴルフじょうのそばにすんでいる。

社長しゃちょう
ゴルフだいすき。パパの会社かいしゃ社長しゃちょう


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1 約束やくそくは?
「パパ、つぎの日曜日にちようび遊園地ゆうえんちにつれていってくれるの?」
「ああ、いいよ。いっしょにいこうね。」
ミキは、とてもうれしくなりました。パパは仕事しごとやゴルフでいそがしくて、なかなかあそんでくれません。ミキは、二階にかいにある自分じぶん部屋へやにいきました。

2 なぜしょんぼりしているか?
 まどそとおおきなえます。そこにめずらしい銀色ぎんいろのシッポをもったちいさなリスがいました。ミキのともだちです。
「ねえ、ユピ、いて、つぎの日曜日にちようび、パパが遊園地ゆうえんちにつれていってくれるって・・・。」
「よかったね。」
「そうだ、てるてる坊主ぼうずさんをつくろう。」
ミキはそういうと、ハンカチでてるてる坊主ぼうずをつくりはじめました。
 金曜日きんようび、パパが会社かいしゃからかえってきました。パパはしょんぼりしています。
「パパ、どうしたの?」
「ごめん、土曜日どようび日曜日にちようびもゴルフになった・・・。」
パパは、すまなさそうにいいました。
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3 遊園地ゆうえんちは?
「ええー、パパ、遊園地ゆうえんちにつれていってくれるって約束やくそくしたのに・・・。」
「ごめんね。仕事しごとのおつきあいでどうしていかなくちゃいけないんだ。」
ミキは、しそうになりました。ママがミキにいいました。
「ミキちゃん、わがままいわないのよ。パパのゴルフはお仕事しごととおなじなのだから。」
「しらない・・・。」
ミキは、おこって二階にかいへあがっていきました。
「ねえ、ユピ、いて。パパは土曜日どようび日曜日にちようびもゴルフだって。遊園地ゆうえんちにつれていってくれるっていったのに・・・。」
「ざんねんだね・・・。」

4 いいかんがえがひらめいた?
ミキはいていました。ユピはミキのことがかわいそうになりました。
「ボクにまかせて、ミキ。」
ユピはそういうとどこかへいってしまいました。
「まかせてって・・・、どうするのだろう?」
ミキは不思議ふしぎおもいました。まどにてるてる坊主ぼうずがゆれています。
 土曜日どようびのあさがきました。パパはゴルフバックをもってでかけます。
ミキはうらめしそうにパパをみおくりました。パパは、ミキがにらんでいるので、うしろめたい気持きもちででかけました。
ゴルフじょうにいくと社長しゃちょうがまっていました。
「やあ、スズキくんいえがゴルフじょうのとなりとはべんりだね。」
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5 もっていくのはだれ?
「はあ、社長しゃちょう。それでこまることもあるのです・・・。」
パパは、ミキのおこったかおおもいうかべました。
 パパがゴルフボールを地面じめんにおいて、パコーンとうちました。ボールはふらふらっとあがっていきます。そして、みどりのしばふのうえにおちて、てんてんところがりました。
そのとき、とんでもないことがおこりました。
 ちいさなくろかげがあらわれると、ボールをもっていってしまったのです。パパは、びっくりしてがまんまるになりました。
社長しゃちょう、なにかちいさな動物どうぶつがボールをもっていってしまいました。」
「うむ、しかたがないな。もういちどうちたまえ。」
パパは、ゴルフボールを地面じめんにおいて、パコーンとうちました。ボールがてんてんところがります。


6 作戦さくせんはうまくいくか?
 パパと社長しゃちょうはボールをつめました。すると、銀色ぎんいろのシッポのちいさなリスがボールをおいかけて、もっていってしまいます。
社長しゃちょう、リスがボールをもっていってしまいました。」
「しかたがない、もういちどうちたまえ。」
それから、何回なんかいかうちましたが、ぜんぶリスがもっていってしまいました。
社長しゃちょう、どうしましょう・・・。」
「しかたがない。もうやめよう。ボールがないと、明日あした無理むりだな。」
パパと社長しゃちょうは、とつぜんおこったできごとにこまってしまいました。
  土曜日どようび、パパが、がっかりしたようすで、はやくかえってきました。
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7 元気げんきがないのはなぜ?
「パパ、はやいね、元気げんきないけどどうしたの?」
ミキはそうパパにたずねました。
「うん、ボールをうつと、銀色ぎんいろのしっぽのリスがもっていってしまうんだ。」
銀色ぎんいろのしっぽのリスが・・・?」 
「うん、それでボールがなくなって・・・。社長しゃちょうが、ボールがないなら、ゴルフは無理むりだから、もういいって。だから、明日あした遊園地ゆうえんちにいけるよ。」
「まあ、たいへん。」
ミキはそういうと、あわてて二階にかいへあがりました。パパは、ミキがよろこぶとおもったのに、いがいな反応はんのうにおどろきました。


8 いいことしたとおもったのに…?
 二階にかいへいくと、まどからおおきなえます。そこにリスがいました。
「ユピ、だめじゃない。パパのボールもっていっては・・・。」
「え、だめなの?ミキちゃんがよろこぶとおもって・・・。」
「そっか・・・、わたしのために?それはうれしいわ。でも、パパのゴルフは、お仕事しごととおなじことなの、じゃましちゃだめよ、ユピ。ボールをかえしてきて。」
ミキは、そういったあと、さっきのママとおなじことをいっているのにがついて、ほおがあかくなりました。ユピは、からおりると、ゴルフボールをほりだしにいきました。
 日曜日にちようびのあさ、パパがめざめると、ゴルフボールがまくらもとにおいてありました。パパは社長しゃちょう電話でんわしました。

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9 いたずらって?

「もしもし、社長しゃちょうさんですか?ゴルフボールがかえってきました。ええ、きょうは大丈夫だいじょうぶです。」
パパはゴルフにいく準備じゅんびをしました。
「ごめんね、ミキちゃん。来週らいしゅうこそ遊園地ゆうえんちにいくからね。」
「ええ、パパ、しかたがないわ。そのかわり、おともだちのいたずらをゆるして、いっしょにつれていってもらえる?」
「いたずらって、どんな?」
パパが、そういうと、銀色ぎんいろのシッポのリスが、ミキのあたまのうえであいさつをしました。

10 ゆるしてもらえるか?
「あーっ、ゴルフボールをもっていったリス!」
パパは、すこしおこっていいました。ミキとユピは、おもいっきりかわいくほほえんでみました。
(了)
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