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かくれんぼ
木村達也
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登場人物
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登場人物
1 なにして遊ぶ?
2 ユピがさがしたかくれるところとは? 3 なにかおちてくる?
4 ユピにピンチがやってくる? 5 怒ったユピはどうする?
6 空からぴかぴか白い星? 7 白い星はどこにある?
8 白い星はたべられるか? 9 ユピの好きな物って?
10 チャピ、かくれるところは? 11 チャピ、いい考えがひらめく?
12 チャピのすがたがみあたらないけど…? 13 チャピはどこ?
14 チャピを助ける方法は? 15 白い星か?どもだちか?
16 ユピの選んだのはどっち? 17 なぜ森の中にあるのか?
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かくれんぼ 木村達也
登場人物
ユピ
リスの男の子。いたずらずき。しっぽが銀色。
チャピ
リスの男の子。ユピのともだち。
社長
ゴルフがだいすき。
社員
すずきという。
先頭へ もくじ 1 なにして遊ぶ?
ユピは、こどものリスです。チャピは、ユピのともだちです。ふたりはいつも森であそんでいました。きょうはかくれんぼをしています。 ユピはチャピをさがしていました。よく見ると、チャピが木のかげにかくれています。 「あ、チャピ見つけた。」 ユピがさけびました。 「見つかっちゃった・・・。こんどは、ぼくがオニだね。」 チャピがそういいました。チャピは目をとじて、数をかぞえはじめました。 「一、二、三・・・。」 ユピはかくれるところをさがしました。
どこかいいところないかなあ??
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2 ユピがさがしたかくれるところとは?
ユピは、木の上から下を見ました。ここは森のはずれです。ここから先に木はたっていません。しばふとよばれる、人間のうえたみじかい草がきれいにはえています。 よく見ると、みどりのしばふの上に穴がひとつあいています。小さな穴ですが、ユピはまだ体が小さいのでなんとか入れそうです。ユピは木からおりると、しばふの上をはしって、その穴にすっぽりと入りました。 しっぽが長いので、すこしだけはみでています。 「ここは森からはずれているから、きっと見つからないぞ。」
3 なにかおちてくる?
ユピは、どきどきしながらかくれていました。 ユピが穴にかくれていると、どんという音がしました。なにか、空からおちてきたようです。 そっと頭をだして見ると、白い球がありました。小さなユピから見ると、大きな球です。 「社長、ナイスショットでしたね。グリーンにのっていますよ。」 「いや、すずきくん、ありがとう。」
人間の声が近づいてきます。
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4 ユピにピンチがやってくる? 「どうしよう。だれかくるぞ。」 ユピはしんぱいになりました。頭をほんのすこしだして、外をのぞいてみました。 「うわっ・・・、たいへんだ。」 ユピは、さけびました。だれかが、長いぼうで白い球をうちました。おどろいたことに、その球はユピのほうにむかってどんどんころがってきます。ユピはあわてて頭をひっこめました。ごろごろと球がころがる音がしてきます。大きな音がして、白い球がユピの頭にあたりました。
←ユピはこの中 ユピにピンチがやってきました。
5 怒ったユピはどうする?
ごっつん! 「いった〜い!!」 あまりのいたさにユピはさけびました。星が頭の上でくるくるまわるのが見えました。 「もう、あたまにきたぞ。」 ユピはおこって、白い球をもって穴からとびだしました。 「社長、球が穴からとびだしてきました。」 「ほんとうだ・・・。」 「社長、小さなリスが球をもっています。」 「ああ、わしのボールが・・・、にげていく・・・。」
社長は、うるうるのなみだ目で、そうさけびました。
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6 空からぴかぴか白い星?
ユピは白い球をもって、森の中ににげてきました。球はけっこうおもいので、つかれてきました。 「あ、ユピ見つけた。」 そういえば、まだチャピとかくれんぼのとちゅうでした。 「ああ、見つかっちゃった・・・。」 「ぜんぜんわからなかったよ。どこにかくれていたの?」 「ああ、穴の中・・・。」 「ふうん、穴の中・・・。ところで、ユピが手にもっているものはなに?」 「ん?これは空からふってきたから・・・、白い星かな?」 ユピは白い星をじっと見ました。よく見ると、きれいにぴかぴかと光っています。 「きれいだなあ。ちょっといってくるよ。」 「ユピ、どこへいくの?」
7 白い星はどこにある? 「どこかわからない。白い星をさがしにいくよ・・・。」 チャピは、あきれたといったようすで、ユピをおいかけました。 「まってよ、ユピ。ぼく白い星のあるところを知っているよ。」 「ほんとう。」 ユピはたちどまると、きらきらとした目でいいました。 「ついてきて、ユピ。」 ユピは、チャピについていきました。すごくきゅうな坂がありました。
人間がのぼるのはむずかしそうです。そこをのぼると、たいらなところがありました。 「ほら見て、ユピ。」 「わあ、すごい。白い星がいっぱいおちている。きれいだなあ。」 そこには白い星がいっぱいおちていました。きたないのもありました が、ぴかぴかと光っているのもたくさんありました。
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8 白い星はたべられるか? ユピは、白い星をつかむと、坂の下にある大きな木まではこびました。このあたりには木がいっぱいはえています。大きな木の下あたりに、いっぱい大きな穴がありました。なにかどうぶつがほった穴でしょうか。ユピは、白い星を、大きめの穴の中に入れました。チャピもてつだいました。 「たくさんあつまったね、チャピ。」 ユピは、穴をおち葉でかくしました。 「うん、でも、ユピ、あつめてどうするの?」 「え?」 「だって、白い星はたべられないよ。」 「え?そうなの?」 「においをかいでごらん、ユピ。」
ユピはにおいをかいで、かじってみました。かたくてたべられそうにありません。
9 ユピの好きな物って? 「ほんとうだ。たべられないや。」 「そうだろう。そんなのあつめてもやくにたたないよ。」 「そうかあ・・・。」 「くるみをあつめたほうがいいよ。」 「でも、いいじゃん。きれいだから。」 「まあ、いいか。じゃあ、もうおそいから、帰るね。」 チャピはそういうと、帰っていきました。ユピは、白い星をひとつとりだして、見ました。 「きれいだなあ・・・。」 ユピは、ぴかぴかと光る白い星にうっとりとしました。
ユピはぴかぴかひかるものをあつめるのがだいすき…。うっとりしてしまう…。
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10 チャピ、かくれるところは?
つぎの日がきました。また、ユピとチャピは森でかくれんぼをして遊んでいました。 チャピはユピをさがしていました。よく見ると、ユピが木のかげにかくれています。 「あ、ユピ見つけた。」 チャピがさけびました。 「見つかっちゃった・・・。こんどは、ぼくがオニだね。」 ユピがそういいました。ユピは目をとじて、数をかぞえはじめました。 「一、二、三・・・。」 チャピはかくれるところをさがしました。チャピは、木の上から下を見ました。ここは森の中です。きのうユピが白い星をうめた穴があります。 よく見ると、その近くにべつの穴があいていました。
11 チャピ、いい考えがひらめく? 「きのう、ユピのやつ、穴にかくれていたっていっていたな。」 チャピはいい考えがひらめきました。木からおりて、その穴にとびこんでみました。 ところが、穴はすごくふかかったようです。チャピはひゅうっと下までおちていきました。どんと音がして下についたとき、星が頭の上でく るくるとまわるのが見えました。 「ああ、いたい。」 チャピは上を見ました。ずいぶんと上のほうに穴があります。チャピはかべをのぼって出ようとしましたが、つるつるすべってのぼれません。 「まずいなあ。のぼれないや。」 チャピはこまってしまいました。 「おーい、たすけてくれ、ユピ。」 チャピはありったけの声で穴の中からさけびました。
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12 チャピのすがたがみあたらないけど…?
いっぽう、ユピは、チャピをさがしていました。 「チャピのやつ、どこにいったのかなあ」
木の上をずっと見てまわりましたが、いませんでした。きのう、じぶんがかくれたみどりのしばふの上の穴を見てみましたが、いませんでした。 「おーい、たすけてくれ、ユピ。」 どこかから、声がきこえてきました。 「あれ?チャピの声がきこえるぞ。」 ユピは、声のする森の中へ入っていきました。きのう、白い星をうめたあたりから声がします。しかし、チャピのすがたはありません。 「声はするけど、すがたが見えないなあ。ゆうれいになったのかなあ。」 ユピは、ふしぎに思いました。 「チャピ、どこにいるの?」 ユピは大きな声でさけびました。
13 チャピはどこ? 「ここだよ、穴の中だよ。」
耳をすますと、声のきこえてくる穴があります。 ユピは、その穴をのぞいてみました。なにか下のほうにいます。 「あ、チャピ、見つけた。」 「ああ、見つかっちゃった。でも、それどころじゃないんだよ、ユピ。
出られなくなっちゃったんだよ。」 「かべをのぼってきたら?」 「つるつるすべってのぼれないよ・・・。」 「それはこまったね。」 ユピはかんがえました。なにか長いぼうのようなものを入れたらどうかと思いました。木の枝をひろってきました。 「木の枝を入れるよ。」 「うん。」 しかし、木の枝はまがっていて、穴に入りませんでした。 「ごめん、まがっていて穴に入らないよ。」
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14 チャピを助ける方法は? 「そうか。ざんねん…。」 ユピはまた、かんがえました。 そのとき、木の上からどんぐりが、ぽとんとおちてきました。ユピはそれを見てひらめきました。 「そうだ、どんぐりをひろって、穴に入れよう。」 ユピは、どんぐりをあつめてきました。 「チャピ、どんぐりを穴の中に入れるよ。気をつけて。」 「うん。」 ユピは、どんぐりをどんどん穴の中へ入れました。チャピは穴の中で、どんぐりにあたらないようにうまくよけています。どんぐりが、穴の中にたまって地面がたかくなっていきます。 「どう、チャピ?」 「うん、すこし地面がたかくなったけど・・・。」 ユピは、穴の中をのぞいてみました。 「まだだな。たくさん入れないと、穴から出られるようにならないなあ。」
15 白い星か?どもだちか?
「たのむよ、ユピ。」 ユピは、かんがえました。どんぐりでは小さすぎて、なかなか出られるようになりません。なにかよいほうほうはないものでしょうか。 「あ、そうだ。」 ユピは、いいかんがえがひらめきました。きのうあつめた白い星をとりだしました。 「これなら、穴はすぐにうまるぞ。」 でも、チャピの入っているほそくて長い穴に入れると、もうとりだせません。せっかく、きれいな白い星をあつめたのに、もったいないような気もします。 「う〜ん、ともだちのチャピか、きれいな白い星か・・・。」 ユピはしばらくかんがえました。 ん〜、かんがえちゃだめ、ともだちでしょ、ともだち…
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16 ユピの選んだのはどっち? ユピは白い星を手にもつと、チャピにむかっていいました。 「チャピ、白い星をなげるから、あたらないように気をつけて。」 「いいの?せっかくあつめただいじな白い星なのに・・・。」 「いいさ。いくよ。」 ユピは、どんどん穴の中に白い星を入れました。チャピは白い星にあたらないように、うまくよけています。穴の中の地面はたかくなっていきました。 「ユピ、ありがとう。もう出られるようになったよ。」
見ると、穴は白い星でうまっています。チャピが穴から出られるようになりました。 「よかったね、チャピ。」 「うん。もう、穴にはとびこまないよ。」 「そうだね。ぼくもそうするよ。」 ふたりはそういって、わらいました。
17 なぜ森の中にあるのか?
そのとき、どんと音がして、ふたりの近くに白い星がおちてきました。 「たいへんだ、チャピ、人間がくるよ。」 「はやくにげよう。」 ふたりはそういうと、森の中へにげていきました。 人間が森の中に入ってきました。 「社長のうったボール、ずいぶんまがりましたね。」 「そうだな、すずきくん。ボールが見つかるかな。」 ふたりは、森の中でなにやらさがしています。 「あ、社長、ありました。穴の中にいっぱい入っています。」 「どれどれ、あ、わしのボールもあるぞ。なまえがかいてある。」
社長はびっくりしました。 「なんでこんな森の穴の中に、ボールがいっぱいつまっているんだろう ね、すずきくん。」 「さあ、どうしてでしょう?」 ふたりは首をかしげました。
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