ホーム もくじ          小説 童詩    紹介
リナとりんごの

もくじ 登場人物 1へ






 もくじへ 1へ 先頭へ
とうじょうじんぶつ
ユピ 
チャピ
リナ
つぎへ もくじへ 先頭へ








もくじ つぎへ 先頭へ
1 森のユピ
2 だれかいる
3 なにをしているの?
4 ふしぎ
5 ゆうれい?
6 しらべて
7 むずかしい
8 どうしたの?
9 ごめんね
10 すこしだけ
11 がんばり
12 おどろかないの?
13 まちきれなくて
14 こんどこそ
15 よかったあ
16 すやすや
つぎへ 先頭へ





   
 先頭へ
リナとりんごの


1 もりのユピ

 ユピはもりにすんでいるこどものリスです。ユピはもりなかをあるいていました。ともだちのチャピをさそって、もりのひろばであそぼうとおもったのです。
「チャピ、いる?あそびにいこう。」 ユピはチャピのいえのまえで、さけびました。
つぎへ もくじ





2 だれかいる
「ごめんね、ユピちゃん。チャピはおつかいにいって、るすなの。」 チャピのママがでてきて、そういいました。
「なんだ、るすかあ…。それじゃあ、しかたがないね。さようなら、おばさん。」 ユピは、ひとりでかけることにしました。
 ユピはもりのひろばにつきました。もりのひろばにはりんごのがあります。にはあかいりんごがなっていました。
「おいしそうなりんごがなっているなあ。」 ユピは、りんごののほうにちかづきました。ふと、りんごのしたると、だれかいるのがえました。まだちいさなリスのおんなのようでした。
つぎへ もくじ


3 なにをしているの?

 ユピはこえをかけようかどうしようかまよいました。おとこならかんたんにこえをかけられるのですが、女の子おんなのこだとがひけてしまいます。ユピは女の子おんなのこのようすをじっとました。女の子おんなのこしたから、うえあげています。なにかかんがえごとをしているようでした。
「なにをしているのだろう?」 ユピはふしぎにおもいました。ユピは勇気ゆうきをふりしぼって、女の子おんなのここえをかけることにしました。
「こんにちは。」 女の子おんなのこはユピのほうをました。
「こんにちは…。」
「ぼくはユピ。」
「わたしはリナよ。」
なにをしているの?」
「りんごをているの。」
「とってきてあげようか?」

つぎへ もくじ




4 ふしぎ
「ううん、べつにほしいわけじゃないの。」
「ふうん。まっていて。」 ユピはそういうと、りんごのをするするとのぼっていきました。そして、りんごを二個にことってきました。一個いっこはリナにあげました。
「ありがとう。」 リナはそういいましたが、それほどうれしそうではありませんでした。
「じゃあ、ぼくももうくね。」
「ええ。」 ユピは、いえにかえることにしました。リナはまだりんごのていました。
 かえりみち、ユピはともだちのチャピのいえによりました。
「ねえ、チャピ、きょうもり広場ひろばにふしぎな女の子おんなのこがいたんだけど。」
「ふしぎな女の子おんなのこ?」
「うん、りんごのをじっとているんだ。」
つぎへ もくじ



5 ゆうれい?

「ふうん。」 「それで、りんごがほしいのかなとおもって、とってきてあげたんだ。」
「うん。」
「でも、たいしてうれしそうではないんだ。」
「へえ…。」
「なんなんだろうね?」
「さあ?なんなんでしょう。」
「チャピはどうおもう?」
「ゆうれいとかじゃないの?」
「それはやなぎのしただろう?りんごのだよ。それに、きれいなかおで、ゆうれいみたいじゃあなかったよ。」
「ふうん、なぞだね。」
「あしたいってみない?」

つぎへ もくじ



6 しらべて
「ごめん、あしたもおつかいなんだ。ユピがしらべておいてくれよ。」
「ええ、ひとりでいくの?」
「ゆうれいじゃあないんだろう?」
「うん…。」 ユピはチャピもいっしょにいってくれるとおもったのにがっかりしました。つぎの、ユピはもり広場ひろばにむかってかけました。 ユピはあしばやにあるくと、もりのひろばにつきました。もりのひろばには、りんごのがあります。にはあかいりんごがなっていました。 りんごのした見るみると、また、ちいさな女の子おんなのこがいました。
「リナさん、こんにちは。」
つぎへ もくじ



7 むずかしい

「あ、ユピくん、こんにちは。」
「なにしているの?」
「ええ、りんごをているの。」
「ふーん、なにかあるの?」
「…。」 リナはなにもこたえませんでした。
「りんごならとってきてあげようか。」
「…。」 やはり、リナはなにもこたえませんでした。女の子おんなのこはむずかしいなあとユピはおもいました。 ユピはするするとにのぼっていきました。
「ほら、うえにのぼると気持きもちがいいよ。」 ユピが、そうこえをかけると、リナはぽろぽろとなみだをこぼしました。ユピはびっくりしました。そして、あわててからおりました。
つぎへ もくじ


8 どうしたの?
「どうしたの?どうしてないているの?なにかわるいこといったかな?」 リナはくびをよこにふりました。ユピはわけがわかりませんでした。うえ気持きもちがいいといっただけです。なにかにさわったのでしょうか。
「じゃあ、おなかがいたいの?」 リナはくびをよこにふりました。ユピは、リナがきやむまでまつことにしました。リナのおおきなひとみから、大粒おおつぶなみだがぽろぽろこぼれています。ユピはどうこえをかけていいのか、どうしたらいいのかわかりませんでした。 しばらくすると、リナはきやみました。
「ごめんなさい。」 リナはいました。
つぎへ もくじ


9 ごめんね
「はずかしいけど、まだにうまくのぼれないの。」
にうまくのぼれないの?」 ユピはびっくりしました。だれでもするするとのぼれるものだとおもっていました。
「それで、うえをじっとつめていたり、うえ気持きもちいいっていうといたりしたのか。ごめんね。なんにもらないで。」 リナはくびをよこにふりました。
「いいのよ。にのぼれないなんておかしいわよね。」
「そんなことないさ。」
「そう?」
「れんしゅうしよう。きっとのぼれるようになるよ。」
「ほんとう?」
「じゃあ、ぼくがのぼってみせるからていて。」
つぎへ もくじ


10 すこしだけ

「ユピはにゆっくりのぼってみました。」 リナはかがやかせてていました。
「じゃあ、やってごらん。」
「ええ。」 リナはようまねでのぼってみました。すこしだけのぼれましたが、すぐにおっこちてしまいました。
「うーん、もっとをよくて、うまくをつかまえて。」 ユピがアドバイスをおくりました。
「いいかい、もういっかいやってみるからね。」
「ええ。」 ユピは、もういっかいのぼってみました。
「あ、なんかわかったがする。」 リナはそういうと、のぼってみました。さっきよりはうまくのぼれるようになりました。
つぎへ もくじ



11 がんばり
「すこしだけど、のぼれたわ。」 リナはなんどものぼってみました。一番いちばんしたえだまで、あとはんぶんくらいです。そのうちにがくれてきました。
「リナさん、きょうはもうがくれるから、あしたにしよう。あしたはきっとのぼれるよ。」
「ええ、ありがとう、ユピくん。きょうはもうかえるわ。」 そういうと、リナはかえっていきました。ユピはリナのがんばりにびっくりしました。 かえりみち、ユピはチャピのいえによりました。
「チャピ、ゆうれいじゃあなかったよ。」
「ふうん、なんだったの?」
にうまくのぼれなくてなやんでいたみたい。」
「へえ、そうなの。」
つぎへ もくじ


12 おどろかないの?

「おどろかないの?」
「べつに。そういうがいたっておかしくないさ。」
「そう…。」
「それで、のぼれるようになったの。」
「うん、あともうすこしなんだ。すごくがんばっている。」
「そう、それはすばらしいね。うまくのぼれるようになるといいね。」
「あしたはいっしょにいくよね。」
「ごめん、ユピ、あしたもおつかいなんだ。」
「なんだつまらないの。」
「うまくいったら、またおしえてくれよ。」
「うん、わかった。」 そういうと、ユピはいえにかえりました。

つぎへ
 もくじ



13 まちきれなくて
 つぎの、ユピはもり広場ひろば出かけでかけました。広場ひろばのりんごのしたには、もうリナがきていました。
「はやくのぼれるようになるのがまちきれなくて…。」 リナはそういってわらいました。
「はやくのぼれるようになるといいね。」
「ええ。」
「じゃあ、のぼってみるよ。」 ユピはをのぼってみせました。リナはそのようすをじっとていました。
「わかったわ。」 リナはにのぼってみました。一番いちばんしたえだまで、ほんのすこしまでのところまで、のぼりました。
「リナさん、すごい。あとほんのすこしじゃないか。」
「そうよね。」 リナはあかるくわらいました。

つぎへ もくじ



14 こんどこそ

「じゃあ、くわよ。こんどこそのぼれるわ。」 リナはそういうと、いきおいよくのぼりました。そして、一番いちばんしたえだまでとうとうのぼりきりました。
「やったわ。」 リナはえだうえで、うれしそうにわらいました。
「ほんとう、うえ気持きもちいいわね、ユピくん。」
「そうだろう。」 ユピはこたえました。ユピもリナのいるえだまでのぼっていきました。
「じゃあ、じぶんでりんごをとってみる?」
「ええ。」 リナはえだうえをあるいていって、りんごにをのばしました。くるくるっとひねるとりんごがにはいりました。りんごはあかいろでぴかぴかにひかっていました。
つぎへ もくじ



15 よかったあ

「やったあ、じぶんでとったりんごよ。やったわ。」 リナはおおよろこびで、あかるくわらいました。
「よかったね。」 ユピもうれしくおもいました。ユピとリナはした草原くさはらにおりました。さわやかなかぜがふいてきました。
「わたしね、にのぼれないなんて、はずかしくてだれにもえなかったの。」
「そうだったんだ。」
「でも、よかったあ、じぶんでりんごがとれるようになって。」
「そうだね。」 ユピはそうこたえました。しばらくちんもくがつづきました。かぜがかすかにふいています。
「でも、リナさんは、がんばりやだね。たった二日ふつかでできるようになるなんて。えらいね」
つぎへ もくじ


16  すやすや
リナの返事へんじはありませんでした。ふしぎにおもってよこをみると、リナはりんごをだいたまま、すやすやとていました。
「よっぽど、つかれたんだね。」 むりもないとユピはおもいました。きのうから、なんかいもなんかいもにのぼるれんしゅうをしたのです。つかれていないはずはありません。リナは、りんごをだいてまんぞくそうにていました。そのかおはとてもしあわせそうでした。ユピは、そのかおて、よかったなあとうれしくなりました。
  もどる もくじ