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光る貝
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じんぶつ
ダミレヤン
ブレアン
バルトン
レイヤ
ププドゥール
光る貝
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1海の底で
1Bなにかをさがして
2かえる家
2B緑の谷
3悪魔の貝
3B金色の長いかみ
4海底神殿
4B星型のあざ
5おもいだしてほしい
5Bきおくをとりもどせる
6のろいをとく
6B昔の文字
7王族のにんげん
7B君の正体は?
8光る貝
8Bよみがえる
9おもいだした
9B魚のすがた
10しりたいかい?
10B作戦
11みさきの上
11B魔人
12ププドゥール
13だれだ?
12Bじゅもん
13B魔術の力
14満月
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光る貝
木村達也
1 海の底で
ダミレヤン
ダミレヤンは青い海の底で目がさめた。その体は青色にかがやくうろこでおおわれている。むねのあたりに、まだできたばかりの大きなきりきずがあった。長いむなびれを動かすと、体が少しうきあがった。おびれを動かすと、少し前に進んだ。ねったいの海は、色とりどりのさんごにおおわれていた。テーブルの形をしたものや、花のような形をしたものがならんでいる。そのあいだを多くの色とりどりの魚がおよいでいた。
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1B なにかをさがして
ブレアン
ダミレヤンはかくれるところをさがした。きずついた体を休めたかった。ダミレヤンの体は二メートル近くある。さんごの海にいる魚の中では大きなほうである。テーブルの形をしたさんごの近くに、大きな黒い三角岩を見つけた。その岩かげに大きな体をかくした。ダミレアンが三角岩のかげで休んでいると、目のまえを大きな魚がとおった。その体は二メートル近くあり、緑のうろこでおおわれている。なにかをさがしているようだった。
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2 かえる家
バルトン
「なにかさがしているのか?」
「それが、かえる家がわからなくなってしまった」
「かえる家がわからない?ふしぎなことを言うやつ。名前はなんと言うのだ?」
「名前?名前もわからない」
ダレミアンはどう助けていいものかわからなかった。
「プレアンじゃないか」
とつぜん、頭の上から声がした。ダミレアンと同じ大きさで、光る黄色のうろこの魚がいた。
「プレアン…。それがわしの名前か?」
「家はみさきの下、桜色のテーブルさんごの下だよ」
「みさきの下、桜色のテーブルさんごの下か。ありがとう、いってみるよ」
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2B 緑の谷
光る貝
「プレアン、ぼくの名前もわすれてしまったのか?」
「ああ、すまん。だれだったかな」
「バルトンだよ」
「バルトン…。おぼえておくよ」
「なぜわすれてしまったんだ。北の緑の谷にまよいこんだのか」
「北の緑の谷?わからない」
「光る貝を見たかい?」
「光る貝?おぼえがないが…」
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3 悪魔の貝
ダミレヤン
「まあ、いいや、プレアン、またあおう」
「ああ、ありがとう。またここにくるよ」
プレアンはそう言うと、みさきのほうにむかっておよいでいった。
「バルトンとやら、どうなっておるのだ?」
「わからない。ただ、北の緑の谷にまよいこんだやつは、あんなふうになる。悪魔の貝がすんでいるらしいのだが、それもよくわからないんだ。」
バルトンはそれだけ言うと、プレアンをおいかけていった。
ダミレヤンが三角岩のかげで休んでいると、遠くのほうにふしぎなかげが現れた。
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3B 金色の長いかみ
レイヤ
「あれは、にんげんの女の子?でも、どうして?」
金色の長いかみをゆらゆらとゆらしながらおよぐすがたは、どう見てもにんげんの女の子だった。白いひらひらしたドレスをきている。すらりとのびた足を二本、ゆうがに動かして、色とりどりの魚たちといっしょにおよいでいた。その女の子は、ダミレヤンのしっている女の子に似ていた。
ダミレヤンはふしぎにおもって、あとをついていった。女の子はさんごの海をはなれ、どんどんとふかいところへもぐっていく。しばらくすると、青い海の底に神殿のような建物が現れた。古代に海底にしずんだ遺跡のようだ。じしんでしずんだのか、柱ややねはこわれ、あちこちにかいそうや貝がらがついていた。女の子は海底神殿の中に入っていった。
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4 海底神殿
レイヤ
ダミレヤンも海底神殿の中に入っていった。神殿の中の部屋は石のかべでかこまれていた。石のかべには光ゴケが一面に生えていて、しんぴてきな緑の色に光りかがやいていた。
金色の長いかみの女の子は光ゴケの部屋のすみにあるまどにすわっていた。ダミレヤンは女の子に近づいて、そのかおを見たとき、とてもおどろいた。
「そのかおは、やはり、レイヤじゃないか」
「あら、お魚さん、こんにちは。レイヤってだれ?」
「自分の名前をおぼえていないのか」
「名前もわからないの。でも、わたし、レイヤでいいわよ。すてきな名前ね」
「ぼくをおぼえているか。ダミレヤンだよ」
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4B 星型のあざ
ダミレヤン
「ごめんなさい、お魚さん。おぼえていないわ」
「じゃあ、これは」
ダミレヤンはそう言うと、おびれの近くにある星型のあざを見せた。
「ごめんなさい。おぼえがないわ」
「そうか。どうして海の底にいるの?海で息ができるのか」
「どうしてかは、わたしにもわからないわ。気がついたらここにいたの。海で息もできるのよ」
ダミレヤンは、さきほどのきおくをなくした魚のことをおもいだした。
「なにもおぼえていないのか。気の毒に」
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5 おもいだしてほしい
レイヤ
5 おもいだしてほしい
「そんなことないわ。海の中でお魚さんたちと、楽しく毎日をすごしているのよ。なにもつらいことはないわ」
「海にくるまえのことをしりたいとおもわないのか」
「おもわないわ。今のままで楽しいわ。なにかをおもいだすのはこわい気がするの」
「ぜひ、ぼくのことをおもいだしてほしい。またあおう」
ダミレヤンはそう言うと、海底神殿をあとにした。
ダミレヤンは三角岩にもどった。
「レイヤはぼくのことをおぼえていないようだ」
ダミレヤンはざんねんそうにつぶやいた。そこへ、光る黄色のうろこのバルトンがとおりかかった。
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5B きおくをとりもどせる
バルトン
「バルトン、ききたいことがある」
「ああ、このあいだプレアンを助けてくれたやつか」
「ダミレヤンとよんでくれ。プレアンがどうしてきおくをなくしたのか。どうしたらきおくをとりもどせるのかをしりたい」
ダミレヤンはバルトンをじっと見つめた。バルトンはこたえた。
「それはぼくもしりたい。今、しらべているところだ。おそらく、北の緑の谷にまよいこんだのだ。そこに緑に光る貝がある。その貝の口がひらいて光るのを見たものはのろいをうけ、これまでの人生をわすれてしまうといういいつたえだ」
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6 のろいをとく
バルトン
「いいつたえなのか。それで、のろいをとくにはどうしたらいいのだ」
「のろいをとくじゅもんをとなえるのだ」
「そのじゅもんとは?」
「それを今さがしている。海底神殿にいけば、なにかわかるかもしれない」
「それでは、海底神殿へいって、じゅもんをしらべよう」
「わかった。いますぐプレアンをよんでくる。海底神殿でまたあおう」
バルトンはそう言うと、三角岩をあとにした。
ダミレヤンが海底神殿につくと、もうバルトンとプレアンとレイヤがいた。
「おそかったな。ダミレヤン」
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6B 昔の文字
ダミレヤン
「バルトン、早かったな。それでじゅもんはどこに行けばわかる」
「そこのにんげんの女の子がしっている」
「レイヤよ。じゅもんは海底神殿のかべに書いてあるわ」
「どうして、そのじゅもんをとなえないんだい?」
「昔の文字だからだれも読めないのよ。お魚さん、にんげんの遺跡のかべに書いてある古代文字を読める?」
「さて、どうかな。見てみないと。案内してくれ」
レイヤの案内で海底神殿に入っていった。神殿の奥のかべ一面に文字が書かれていた。ダミレヤンは緑に光る貝に関する文字をさがした。 つぎへ もくじ
7 王族のにんげん
バルトン
「緑に光る貝ののろいをとくじゅもんは…。じゅもんがあったぞ」
レイヤとバルトンとプレアンはかおを見あわせた。
「お魚さん、どうしてにんげんの古代文字が読めるの?」
「お城で読み方を習った」
「ということは、にんげんだったの?」
「ぼくのことをしりたくなったかい?」
「ええ、少し」
レイヤがそうこたえると、これまでだまっていたバルトンが口をはさんだ。
「もしかして、ダミレヤン王国のものか?おびれについている星型のあざやものおじしない口のききかたは王族のにんげんだからだろう?」
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7B 君の正体は?
ブレアン
7B 君の正体は?
「そういう君は、バルトン王国の者だろう。プレアンは君の臣下で、いっしょにのろいにかかって魚のすがたになったといったところだろう」
「いかにも、ぼくはバルトン王国の王子だ。プレアンは臣下さ。君の正体は?」
「君が考えているとおりさ。さて、プレアン、きおくをとりもどしたいかね」
「わしはきおくをとりもどしたい」
「レイヤはどうだい?君はお姫さまだったんだけど」
「わたし、お姫さまだったの?それはしりたいけど、しるのはこわい気もするわね。わたしはこのままで十分しあわせよ。だからこのままでいいわ。でもあなたのことはちょっとしりたいわね」
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8 光る貝
光る貝
「レイヤがこのままでいいなら、プレアンだけをつれて北の緑の谷にいく」
「あら、どうして北の緑の谷にいくの?」
「のろいをとくには緑に光る貝が必要だとかべに書いてある」
「緑に光る貝なら、わたしが神殿のまどの外でかっているわよ。海底でめざめたときなぜか手にもっていたの。わすれたいことがあるから、この貝が現れたのかもしれないわね」
「なぜ、そんなあぶない貝をかっているんだい?きおくがなくなってしまうんだよ」
「貝が口をひらかなければだいじょうぶなのよ。それに、きおくをなくしているから、見てもいいのよ。きおくをなくすのがいやなら、うしろをむいて待っていて。もってくるわ」
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8B よみがえる
レイヤ
レイヤはそう言うと、まどの外から小さな貝をもってきた。貝はほのかに緑色に光っている。ダミレヤンはうしろをむいた。
「はい、じゅもんをとなえてもいいわよ」
「レイヤ、いいのかい。じゅもんをとなえると、きおくがよみがえるよ」
「いいわよ。あなたのことをしりたいわ」
「わかった。緑に光る悪魔の貝よ、のろいをときたまえ、おもいださせたまえ」
ダミレアンがそうとなえると、貝は小さな口をあけた。その口からしんぴてきな緑色の光がなんぼんもさしてきて、あたりをてらした。光はじょじょによわくなり、やがてきえていった。
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9 おもいだした
ブレアン
9 おもいだした
「バルトンさま。魚のすがたで、おいたわしや」
とつぜん、プレアンがさけんだ。
「プレアン、きおくがもどったのか。ぼくのことがわかるのか。よかったな」
「おもいだしたわ。お魚さん。わたし、アリヤラ王国の王女レイヤよ。となりの国のおさななじみのダミレヤン王子のことが大好きで、けっこんすることになっていたのよ。ところが、けっこんするまえの日に、魔人ププドゥールにさらわてしまったの。ダミレヤンを助けたかったら、魔人とけっこんしろと言われたわ。
そうしないと、魔術でダミレヤンを殺すって。それでけっこんしたのよ。でも、いやだったから、塔の上から海へとびこんだの。海で息ができるのは、きっととびこんだとき、魔人ププドゥールが魔術をかけたのね。しばらくすれば生活にこまって、自分からもどってくるとでもおもったんだわ。しかし、緑に光る貝ののろいですべてわすれてしまって、かえる家もわからなくなってしまったというわけね。まちぼうけだわ。
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9B 魚のすがた
レイヤ
ところで、お魚さんは、ほんとうにあのすてきなダミレヤン王子なの?魚になるところを見なかったから、わからないわ。すいぶんかわったけれど」
「魚のすがただけと、ぼくがダミレヤンだよ。レイヤがさらわれた夜、ぼくは魔人ププドゥールと戦った。
半月刀でやつのかおをきりつけて、三日月型のきずをつけてやったが、ぎゃくにむねをきりつけられ、深手をおってしまった。ぼくはにんげんでやつは魔人だ。やつがなにやらじゅもんをとなえると、ぼくはたちまち魚のすがたにかえられてしまったよ。
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10 しりたいかい?
ダミレヤン
魔術で殺されなかったのは、レイヤのおかげだったようだな。この魚のすがたをした男が、ほんとうにダミレヤンかどうかしりたいかい?このまま、海の底でくらすほうほうもあるよ」
「もう自分がなにものなのか、おもいだしてしまったわ。それで、お魚さんが、ほんとうにダミレヤン王子なのかしりたくなった。話もほんとうのようだし、星型のあざもあるから、たぶん王子だとおもう。
だけど、にんげんの王子のすがたをもういちど見てたしかめたい。そうしたら、お魚のすがたのダミレヤン王子と海の底でくらしたいわ。だって、地上では、もうもとのかんけいにはもどれない。わたしはいちど魔人ププドゥールとけっこんしてしまったから。そんな女の子といっしょにくらせる?地上で、はなればなれになるなら、魚のすがたでも、海の底でいっしょのほうがいいわ」
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10B 作戦
レイヤ
10B 作戦
「魔人をやっつけて、もとのダミレヤン王子のすがたにもどれたら、よろこんでレイヤを妃にむかえるよ。おさななじみのレイヤがとても好きだから。魔人といちどけっこんしたことなんて、かんけいないさ。ぼくを助けるためだったんだろう?」
「ほんとうに?」
「ほんとうにきまっているさ」
「それだったら、地上でにんげんのすがたのあなたとくらしたいわ」
「それでは、作戦に協力してくれ。ぼくは魚のすがたのままはいやだ」
「なあに作戦って?おもしろそうね」
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11 みさきの上
魔人ププドゥール
「魔人ププドゥールをやっつけて、魔術をとく作戦さ。ぼくはこんなすがたで地上にいけないから、レイヤにたのむしかない」
ダミレヤンはレイヤにその作戦を話した。
魔人ププドゥールは、みさきの上にそびえたつ城にすんでいた。魔人は二メートルをこえる大男で、いかついかおに三日月のきずがあった。城はダミレヤン王国の城のひとつである。
城には塔がそびえたっている。レイヤ姫が身を投げた塔だ。魔人ププドゥールによって、ダミレヤン王子は魚にすがたをかえられ、レイヤ姫は海底遺跡にひとりすむことになった。バルトン王子とプレアンはバルトン王国の者だが、同じように魔人ププドゥールに国をせめられ、魚にすがたをかえられたのである。
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11B 魔人
魔人ププドゥール
魔人は塔の上から、海を見ていた。
「すぐにこまってもどってくるとおもっていたが、かえってこないわい。サメにでも食われてしまったのか。海でも息ができる魔術をかけたのは、もどってくると考えたからなのだ」
魔人ププドゥールの魔術は、主として変身の魔術だ。人さがしにはむいていない。いくら魔人といっても、これ以上どうしようもなかった。
魔人は海岸にあがってくる女の子のすがたを見た。長い金色のかみの毛をなびかせ、白いひらひらしたドレスをきている。
「あれは、まさか…」
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12 ププドゥール
レイヤ
魔人は塔のかいだんをかけおりて、海岸にむかった。はたして、すなはまに一人の女の子が立っていた。満月が女の子のすがたをあまねくてらした。
「レイヤ姫、もどってきたのか」
「ププドゥールさま、もどってきました。これは海のおみやげです」
レイヤはそう言って小さな石の箱をわたすと、うしろをむいた。
「どうしてうしろをむくのじゃ?」
「はずかしいからですわ」
魔人は、レイヤ姫のことばを、かわいらしくおもった。やはり、わしがいないと、くらしていけないのだ。さんごの指輪か、しんじゅの首飾りかと、魔人はかってな想像をした。
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12B じゅもん
レイヤ
「そうか。それでは、あけてみるぞ」
「ええ、どうぞ」 レイヤはそう言うと、小さな声でじゅもんをとなえはじめた。
「われわすれわれわれわすれずわれわすれ、緑に光る悪魔の貝よ、のろいをかけたまえ、わすれさせたまえ。じゅてあじゅてゆ」
魔人ププドゥールが、小さな石の箱をひらくと、中からほのかに緑に光る貝が現れた。そして、貝が口をひらくと、緑色の光の線がなんぼんもでてきた。緑の光は魔人とくらやみをてらした。魔人は、しばらくぼうぜんとしていた。そのあと、魔人はぽつりと言った。
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13 だれだ?
魔人ププドゥール
「あれ?わしはだれだ?君はだれだ?」
「さあ?だれでしょう?」
レイヤはにっこりと笑った。魔人ププドゥールは、なにかぶつぶつとつぶやきながら、どこかへいってしまった。レイヤは、口をとじた貝をまた小さな石の箱にしまった。
海の中から三人の若者が海岸にあがってきた。
「ダミレヤン王子、のろいがとけたのね」
金色のかみの毛、長い手と足、足についた星型のあざ、そしてやさしくてたくましいそのかおは、まさしくダミレヤン王子だった。王子は青い色の服をきていた。うろこが青かったのは、服の色だったようだ。バルトンは黄色に光る服、プレアンは緑色の服をきていた。
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13B 魔術の力
ダミレヤン
「ああ、レイヤ姫、助かったよ。魔人はなにもかもわすれ、魔術の力もうしなったようだな。それで、魔術がとけて、ぼくはもとにもどれたようだ」
二人は海岸でだきあった。
「ダミレヤン、服がずぶぬれよ」
「ああ、レイヤ。君もそうだよ」
二人はかおを見あわせて、笑った。レイヤ姫の白いドレスから、水がしたたりおちている。満月は二人のすがたをうつくしくてらした。
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14 満月
レイヤ
海岸で波がくだける音がする。ダミレヤン王子は海岸にひざまずいて、礼をした。
「レイヤ姫さま、明日お城で、このダミレヤンとけっこんしてください」
「ええ、よろこんで」
満月にてらされたレイヤ姫は、うつくしくほほえんでそう言った。バルトン王子と臣下のプレアンはがっちりとあくしゅをした。
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